2022/10/12 20:21
こんにちはトモです。
今日は久々に好きな小説について語ろうと思います。
今回はこちらの作品。
題名は、「赤と青とエスキース」。
まずこの装丁がすごく鮮やかで綺麗ですよね。
フラっと書店に寄った時、この装丁がパっと目にとまって「綺麗だな…」と一目ぼれして即買いしたんですよね。
ちなみに「エスキース」とは、画家がインスピレーションを形にするために施す「下絵」のことです。
その下絵そのものや、計画を練る作業に対しても使われる用語となっています。
というわけで、この小説は一枚の「絵画(エスキース)」を中心に、それを取り巻く人間模様を色鮮やかに映し出した珠玉の一作となっております。
これは今年、この「五月雨」の大阪での仕入れから地元広島への長距離バスで帰ってる時に一気に読んだんですが、もう最後の方は、
「おおぉ…」「なるほどぉぉ…」と、思わず声を漏らさずにはいられませんでした。
とにかく「鮮やか」でした。装丁だけじゃないんですよね。
もう物語としてけちの付けようがないくらいにまとまってて、正直個人的には、今まで読んできた小説の中で最も
「完璧」
に近かった作品だったんじゃないかと思います。これは大袈裟じゃなしに、割と本気です。
この「完璧さ」を、僕はあえて繰り返しますが、ただただ「鮮やか」だと表現したいです。
この物語、タイトルにも表れてるように、密接に「色」と関わってきます。
筆者の青山美智子さんは、その「色」を憎いほどに巧みに操ってきます(名前にも「青」が入ってますしね)。
そうなればもう、この物語を代表する形容詞は「鮮やか」しかないでしょう。
きっと読み終わった人なら、僕のくどいこの主張も分かってくれると思います。
文体もすごく洗練されてて、普通の人じゃ到底思いつけないような表現に満ち溢れてるんですが、でも決してキザではないんですよね。
一つひとつの言葉・フレーズに、一切の無駄がないんです。
そして結局、既述の「完璧」という言葉に帰結するんですよね。
とにかくこの「赤と青とエスキース」、本気でお勧めです。
普段小説なんか読まないよって人にとっても、すごく読みやすく、そして「小説ならでは」の感動を楽しめると思います。
「小説ならでは」とあえて書きましたが、この作品の醍醐味は、映画や漫画などではなかなか伝えづらいものがあるんですよね。
まぁそんな意味深な解説もさておき、気になった方はぜひ一度書店で手に取って見てみてください!